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【インタビュー】「日本の教育をよりよくする」岡山晃一郎さん

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「日本の教育をよりよくする」

そんな想いで児童発達支援施設を運営するのは、「株式会社Minashia」代表取締役社長の岡山晃一郎さん。お子さんへのサポートスキルを伝える「親カフェ」という講座を開いたり、保護者や支援者向けの勉強会を企画したり、取り組みが静岡第一テレビに取材されたり・・・静岡で教育に関する活動を幅広く行っている。いつも明るくフレンドリーな性格で、彼を慕う人はとても多い。そんな岡山さんの過去を振り返りながら、まもなくオープンする児童発達支援施設ミナシアBASEとこれからの展望に迫った。

 

 

 

 児童発達支援ミナシアBASE(ベース)

ー岡山さんが始める「ミナシアBASE(ベース)」とは何ですか?

発達がゆるやかなお子さんへの療育や支援を行う幼児教室(児童発達支援施設)です。(療育…障がいのあるお子さまが、社会的に自立できるように取り組む治療と教育のこと)ミナシアBASEではお子さんの発達に応じた身辺自立を約10分、個別療育を約20分、集団療育を約20分取り組みます。

それらの療育をプログラムを作成するためにまず、スタッフと保護者さんとの面談でお子さんに関する聞き取りを行います。そして、どのようなことで困っていたり悩んでいたりするかについて詳しくお話を聞きます。これをアセスメント面接(モニタリング)と言います。

また、お子さんの遊ぶ様子も観察し、特性をつかみながら療育を進めていきます。さらに、様子を観察するだけでなく、科学的根拠のある心理検査も実施し、分析をしながら療育に役立てていきます。縦と横の連携をしていくために色々な方とのつながりを大切にして行きたいと思っています。

児童発達支援事業自体は自治体に認められているサービスで、私たちのところ以外にも静岡市内だけで20か所以上あります。就学児(6歳以上18歳未満)のお子さん向けだと「放課後等デイサービス」という事業もあり、80箇所以上はあるようです。

 

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例えばこの教材は、手先の微細(細かな)運動はもちろん、コミュニケーションツールとしても役立ちます。遊びながら話すことで、色・かたち・擬音・物(生き物)などの語彙を増やすことにも役立ちます。

道具だけでなく療育をする「人」も大切な環境です。そのため、職員研修も積極的に行っています。特に、エビデンス(科学的根拠)のある療育に取り組んでいくための専門的な研修を行っています。療育をするって聞くと難しく聞こえるけど、僕は保育園で先生方がやっていることに「理論づけ」をして取り組んでいくことが大切だと思っています。だから、遊び方と、それに基づく理論をもっている支援者を育てるって大事です。

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amayako99.wixsite.com

 

愛と科学の両立

一「愛」の部分と「科学」の部分の両方を大切にしてるってことですね。

そうそう!愛は大事ですよね。どの人も子どもへの愛を持っています。その愛をより伝えるためにもそこにエビデンスを入れます。愛を持ち、その上でできる限り根拠に基づいた適切な支援を行えるようにしていくということです。そうすることで愛と科学は両立できます。

子どもと関わるときによく大人がしてしまうのが大きな声で叱ったり怒鳴ったりなどです。しかし、それは強すぎる刺激で、実は子どもにとっては逆効果。だから子どもに対して低刺激で落ち着かせることが大事だったりします。そういうことを「知っておく」ことがすごく大切だと思っています。

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一「科学」の部分を知ってもらうことが岡山さんの仕事の一つなんですね。

本当はもっともっと専門の方が前に出て欲しいとは思っています。ですが、まず知識や方法などを知ってもらい、その中で選択をして行って欲しいですね。お子さんが不適切な行動をしてしまった時は、もちろん、叱る場面も必要です。ただ、「叱る」以外にも「教える」とか「静かに話す」、「理由を聞く」、「叱らなくてもすむ環境を整える」などの様々な方法があります。叱ることも必要ですが、場合によっては褒めた方がずっといいこともあります。さらに、褒め方も声・ジェスチャー・絵カードなどたくさんあるわけです。それを感覚的にわかっている方も多いですが、あえて言葉にして発信していくことは確かに僕の仕事の一つだと思っています。

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問題意識として、「科学を知ってもらう」ってことはあったんですか?

大学生の時からありました。大学1年生のころに発達障がい傾向のある小学4年生の家庭教師をしていました。その子は精神的にすごく傷ついていて、学校の理解も得られていない状態でした。初めて彼から聞いた言葉は「ぼく、ダメなんです」でした。もし、もっと早く、よりよいサポートができていれば、その子の人生が変わっていた”かも”しれない。そういう後悔を減らしていきたいっていう想いが強かったです。そこで行き着いたのは「どの方法が本当に良いのだろう?」という考えでした。

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「もっと早くサポートできたら」

一もっと早くっていうことは大切にされているんですか?

早期支援はとても大切だと思っています。いろんな人にお話を伺う中でも、やっぱり早期療育は大事だと。

ご縁があり、アメリカに2度視察に行き、日本との違いに衝撃を受けました。発達障がいのあるお子さんへの診断がとても早かったです。2歳よりも早く診断があり、サポートや療育もチームを組んで迅速に取り組まれていました。

日本の親御さんの中にはお子さんが発達障がいの傾向があると言われても、機関へ行くことには躊躇してしまうことが多くあると聞いています。しかし、アメリカではすぐに関係機関(病院など)に行くそうです。それは、早期支援をすることが子どもに良いと社会全体が分かっているからです。早期に発見して、早期に療育をすることが、その子の人生を変える可能性が高まるし、親御さんの負担も減ります。また、支援のために税金も多く投入しているそうです。

実は、日本でも条件が整えば9割を自治体が負担してくれる制度がありますが、多くの人はそのこと知らないです。例えば、ミナシアBASEでも金銭的負担を極力少なくして療育を受けることができます。1ヶ月の内、約60分の療育を毎日受け続けた場合でも、負担上限額は月4600円を超えることはほとんどありません(詳細は市のHPにあります)。

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 (Minashia事務所兼遊び場)

 

日本の教育をよりよくする

一岡山さんは、学校教諭を辞められて今のお仕事を始めました。大変な決断だったと思いますが、なぜ辞められたのでしょうか?

公務員では「変えられない」と思ったからです。もちろん、教師を辞めるときは色々な方に止められました。しかし、歯痒さの方が大きかった。特に自分は新入りでしたし、エビデンス(科学的根拠)をもって上司と話してもそれが通じなかったりします。そもそもエビデンスという言葉自体を知らないことも多いです。ある偉い先生にエビデンスを提示したうえで教材や支援方法の提案をしたことがあったのですが「それが本当に良いものだったら教育委員会から連絡が来てます」って言われて。もうどうしようもありませんでした。

これは聞いた話ですが、クラスには知的に遅れている子もいて、みんなと同じことがすぐにはできない子もいます。そんな時は、「今はここだよ」と、指差しなどで教えてあげればいいのに、怒鳴り散らして泣かせる先輩の先生がいたそうです。違うと思っていても、そういう先生に対して若い先生は何も言えない。聞いていて辛かったです。

ある学年の児童を担任した時、その子に発達障がいの傾向があることに気づきました。そのため、できるだけ早くご家族と話し、上司へも報連相をし、病院につなぎ、療育を受けられる環境を用意しました。そうしたら親御さんにもすごく喜んでもらえて嬉しかったです。でも、同時に言われたのは「もっと早くサポート(療育)をうけさせてもらえたら・・・」って。過去には戻れないのはわかっているのですが、やっぱり「早期支援」の重要性を感じずには入られませんでした。

その子のためにもっと早くからできることがあったはず。それでもやれなかったことは辛いです。けれど、親御さんや先生方が責任を感じることじゃなくて、仕組み(システム)の問題だと思っています。「園や学校が連携して早期支援ができる仕組みを作る」ことができればいいな、と。ただ、自分が公務員として、仮に50,60歳まで働いたとしても、その仕組みを作れるかははっきり言って微妙です。というかほぼ無理だと思います。それなら、公務員と言う立場を捨ててもっと仕組みを作りやすい民間でやろうと思いました。iPadみたいに、民間で作った「モノ」が認められて、行政に導入出来たら最高です。民間で作った「仕組み」を学校に入れる、それがいまの目標です。

お子さんや親御さんがより幸せに生活するためにって考えて、人生計算したら公務員じゃダメだなってなっただけなんですよね。手段の問題です。そして、自分で組織作ったほうが早いと思って教師を辞めました。

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 一「仕組み」を変えていくために、教師を辞められたのですね。

そうですね。

話が少し戻りますが、学校の先生方の中に「エビデンス」と言う言葉を知らなかったり、子どもを怒鳴り散らしてしまう人がいることは、決してその人自身に罪があるわけではないと思います。多くの先生はとても一生懸命です。本当に。尊敬する方ばかりです。だから声を大きくして言いたいのは、『先生も悪くないし、親も子ども悪くない。ただ、「仕組み」だけが悪い』のだと思います。この言葉を尊敬する先生に教えてもらったとき、雷に打たれたような衝撃がありました。だから、仕組みを変えていく。そして、仕組みを変えれば、人は変わると思っています。

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学生の皆さんへ

 一これからMinashiaのスタッフの募集もされると思います

 たくさん学生に来てほしいですね。療育のことも知ってもらいたいですし。

個別療育は1対1でやるんだけど、集団療育は3〜6人同時にやります。その時にお手伝いをしてほしいです。アルバイトも受け付けてます。障がい福祉とか、小学校入学前の子どもたちがどういう風に生活してるのかとか知りたい人とか。その人なりの目的を持って、一緒に働きたいですね。具体的には火曜日と木曜日に来てもらえると助かります。時給は1000円前後を目安にしてます。曜日や時間については柔軟に対応して行きたいのでまずお話ししたいですね。

(コンタクトはこちらから)

 

このブログは、学生さんも多く見ています。最後に、学生の時にやればよかったと思うことを教えてください。

「狂気」を持った方がよかったなって笑。やりたいことを周りの目を気にせずもっとやればよかったなって思います。僕の場合は、保護者支援とか、サークルとか。あと、もっと外に出ればよかった。特に、社会人の団体に出入りすればよかったなって思います。あと、起業もしたかった。学生の起業が一番リスクがないと思いますし。

周りから「アイツおかしい」って思われるくらい、動くこと。だいぶ異質だと思われると思うけど、日本の教育を変える(よりよくする)にはそのくらいの方が良いですよね、きっと。

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